赤い靴が出来るまで・・・
The second diversion is prohibited.
遠い記憶だが・・・
幼い頃、小さな靴店で育った。
確か、車が1台やっと入る程の小さな敷地に木造平屋の仕事場があった。
自分が学生自分に使っていた四畳半の部屋には若い職人が二人住み込みで働いていた。
小さな仕事の小屋には靴の木型が沢山ぶら下がっていた記憶がある。
木型はいくつかの部品に分かれていて、締めたり緩めたり出来る様に長いボルトが刺さっている。
客の足型を描いた分厚い足型帳も何冊か見た覚えがある。
ペラペラとめくるとお客の氏名と住所等の連絡先といつ測ったかの記録もあった。
厚さは日めくりカレンダー程の厚みはあったと思う。
当時は正月を新しい靴で迎えるという風習があった。
寒い大晦日なぞは深夜まで店は開いていて客もひっきりなしに来店していて、革靴を履き比べたりして購入していった。
お店は朝早く、夜遅くまで開いていて、休みは盆と正月のみだった。
今の合成皮革の靴とは違って、本皮で一から作っていたから何工程も掛かってようやく製品になる。
私の黒木という名と同じブランドのタグも見た覚えもある。
靴の中の下敷き部分にそのブランド名が入ったベージュ色した薄い布が縫ってあった。
遠い、遠い記憶を辿ってしまった・・・。
何故だろう・・・。
手間隙掛けて作られたモノには愛着が湧く。
その人に合った靴は履き心地も良く、既製品では決して味わえない小さな感動がある。
昔からの人の手で時間を掛けて作ろうとする気迫も今は何処へ言ってしまったのだろうと、感慨深い。
職人の家に育った私は今もその血を受け継いでいる。
by kuro2252
| 2010-03-12 09:13
| Leica Ⅲc